「THE TEAM」
人間が一人でできることは限られている。
この世に存在する全ての人間が、他者と協働することで「自分一人ではない何か」に取り組んでいる。
本書は「チームの法則」の決定版を届けたいという想いがあり、読んでいただいた全ての読者が「あなたのチーム」を作れるようにという願いが込められています。
「チームの法則」は
A: Aimの法則
B: Boardingの法則
C: Communicationの法則
D: Decisionの法則
E: Engagementの法則
の5つの法則(頭文字を取るとABCDE)から構成されています。
皆さんは「チーム」とグループの違いは何かと尋ねられたらなんと答えますか?
本書で言われているのは、共通の目的を持っているかどうかです。
本書では「共通の目的を持った二人以上のメンバーがいる集団」
これを「チーム」と呼びます。
- A.目標を正しく設定するのが良いチーム(Aimの法則)
- B.戦える仲間を選べBoardingの法則
- C.最高の空間をつくれ(Communicationの法則)
- D.進むべき道を示せ(Decisionの法則)
- E.力を出しきれ(Engagementの法則)
- まとめ
A.目標を正しく設定するのが良いチーム(Aimの法則)
目標を正しく設定するのが良いチームだ。
適切な目標設定がなされていなければ、メンバーのあらゆる努力が無に帰す、と言っても過言ではない。
その際に重要なのは、チーム活動の意義が設定されていること。
自分たちのチームはなんのために存在するのか?数字や作業を積み上げた先に何を実現したいのか?
ここを言語化して初めて、メンバーたちは自主性や創造性を発揮します。
チームが何のために存在し、どんな影響を与えていくべきなのかという意義目標を全てのメンバーが意識し、自発的に行動(行動目標)し、成果(成果目標)をあげるチーム作りが求められています。
B.戦える仲間を選べBoardingの法則
「ビジョナリーカンパニー2」において、著者のジム・コリンズは「誰をバスにのせるか」が企業経営で最も大切ことであり、「最初に人を選び、その後に目標を選ぶ」べきであると説きました。
メンバー選びということに関しては「誰をバスに乗せるか」と同時に「誰をバスから降ろすか」ということも重要です。
本書では「チーム」を環境の変化度合いや人材の連携度合に応じて4タイプに分けています。
チームには絶対解があるのではなく最適解がある
という前提のもとそれぞれのタイプに応じてどんなメンバーを選ぶべきなのかを論じています。
現在のビジネスのトレンドは流動性・多様性のあるチームです。
しかし、チームによってはむしろ、流動性がない、または多様性が必要ないケースも存在します。
それを踏まえて、チームメンバーを選ぶ際は活動に合わせたメンバーを集めることが大切である、と言えます。
C.最高の空間をつくれ(Communicationの法則)
環境変化のスピードが日に日に速くなっている中で、チームのルールもあっという間に陳腐化する時代になってきました。
時代に求められるのは、ルールよりもコミュニケーションです。
本書では「相互理解」や「心理的安全」というキーワードがあがっています。
Googleも「心理的安全」というキーワードをチーム作りに置いて重視しているようで、「生産性の高いチームは心理的安全性が最も重要である」と言っています。
心理的安全がないと、チームに悪影響を及ぼします。
1.無知だと思われる不安(Ignorant)
2.無能だと思われる不安(Incompetent)
3.邪魔だと思われる不安(Intrusive)
4.批判的だと思われる不安(Negative)
心理的安全が低いチームは、常に4つの不安に晒されます。
このような状態では、一人一人のポテンシャルを最大限に発揮できません。
昨今では「1on1」という施策が注目されています。
上司と部下の1対1の面談をさしており、シリコンバレーの多くの企業で取り入れられております。
上司は業務のことだけでなく、部下本人のキャリアやコンディションに関することもしっかりヒアリングすることで、上司の部下に対する理解が促進されます。また、傾聴や支援をすることで心理的安全が促されます。
多くの企業が注目しているのは、企業内でのチームコミュニケーションの重要性が増していることと、効果的なコミュニケーションの中のためにメンバーの相互理解や、チーム内の心理的安全がポイントになっていることを表しているのではないでしょうか。
D.進むべき道を示せ(Decisionの法則)
チームの意思決定には3つの方法があります
一つ目は「独裁」
チームのなかの誰かひとりが意思決定する
二つ目は「多数決」
チーム全員の投票で多数の賛同を得た案で意思決定する
三つ目は「合議」
チーム全員で話し合って意思決定する
これらの意思決定は、必ずしもどれか一つが優れているわけではありません。
「みんなが話し合って決めるのが良いチームだ」
と言われることが多いですが、
「誰かが独断で決めるのが良いチームだ」
ということも大いにあり得ます。
チームで意思決定する際には、議論や検討を始める前にどの意思決定方法を用いるかを決める、ということが非常に重要です。
例えば、合議では
選択肢を選ぶための基準を決める
→その選択基準の優先順位を決める
→優先基準に合致する選択肢を選ぶ
この流れが重要です。
ついつい私たちは、選択肢同士を比較して、どちらを選ぶべきなのかを考えてしまいがちですが、それではいつまで立っても結論は出ないことがあります。
また、結論が出たとしてもなぜそのような結論に至ったのかを説明できないことが多くあります。
また、正しい独裁はチームを幸せにします。
ソフトバンクの孫さんはトップダウンでスピーディーに意思決定をするように、昨今のビジネスではスピードが求められます。
まず、どのような方法で意思決定するかを意思決定する。
リーダーはチームメンバーの反発を恐れず大胆に決断します。
そして自分たちのチームでの決断を、メンバー全員で正解にして行きます。
このような意思決定に対する適切なスタンスをメンバー全員で共有することによって、意思決定の制度は飛躍的に上がります。
E.力を出しきれ(Engagementの法則)
チームメンバーのモチベーションに関する誤解の一つに
「メンバーのモチベーションを高めるためにはリーダーが情熱的に語りかけることが大切だ」というものがあります。
「気合を入れろ!」「根性はあるのか!」「モチベーションを上げろ!」と言っていれば、チームメンバーのモチベーションやエンゲージメントが上がると勘違いしている人がいます。
しかし、それは適切なアプローチではありません。
エンゲージメント力を高めるのに必要な4Pというものがあります。
Philosophy (理念・方針)
Profession (活動・成長)
People (人材・風土)
Privilege (待遇・特権)
の4つです。
チームとしてのエンゲージメントの総量を高めるために、4Pのうちのどれでエンゲージメントを高めるのかを絞り込むのは有効なアプローチです。
チームの資源は有限ですので、どんなことに応えてどんなことにいのかという戦略的な資源配分が必要です。
例えば、ディズニーはPhilosophyの魅力で束ねているように見えます。
「夢の国」「ハピネス」「ファミリー・エンターテイメント」などのコンセプトに惹かれて働いている人が多く。ディズニーで働いているのであれば施設や職種、給与は問わないという人もいらっしゃるように感じます。
このようにどのPでメンバーのエンゲージメント率を高め、束ねていくのかを戦略的定め、チーム作りに取り組んでいくことは有効です。
「何に共感して、メンバーたちはチームとして活動しているのか」が不明確なのであれば、エンゲージメントを高める軸を明確にすることが重要です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
チームづくりをする上で重要なことが本書にはぎっしり詰まっています。
本書は気になる章だけ読んでも完結する作りとなっているので、気になっている部分だけを読むのも一つの手ですね。
以上、むーなか(@muunaka0202)でした。